補足運動野へのrTMS刺激はすくみ足に有効である

 

 

今回は、すくみ足に対して補足運動野(SMA)への反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性について以下の論文を紹介します。

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Stimulation in Supplementary Motor Area Versus Motor Cortex for Freezing of Gait in Parkinson's Disease

 SJ Kim, SH Paeng, SY Kang - Journal of Clinical Neurology, 2018 - synapse.koreamed.org

 

Background and Purpose

すくみ足(FOG)はパーキンソン病(PD)の症状の一つで、「歩こうと思っているにもかかわらず、足が前に出ない、または著しく減少する」と表現されます。

 rTMSがPDの運動機能を改善することが示唆されているが、FOGについては言及されていない。補足運動野(SMA)は大脳基底核-皮質運動ループの重要な領域であり,PDでは障害されており,FOGを伴うPDではFOGを伴わないPDに比べて活性化が低いことから,補足運動野が有効である可能性がある。

FOGに対するrTMSの効果を検討した数少ない研究では、多様な刺激方法の適用やFOGの予測不可能性およびエピソード性に起因すると思われる一貫性のない結果が得られている。我々の目的は、FOGを軽減するために大きな反応を示す脳刺激部位を見つけることである。

 

Methods

FOGを持つ12人のPD患者を対象とした。補足運動野(SMA)と運動野(MC)への反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の治療効果を検討した

rTMS治療の前後で,立位-歩行-座位のテストにおけるステップ数,完了時間,および凍りつきエピソードを測定した。また、FOGを誘発する2つの課題でも凍りつきエピソードを検証した。

 

アウトカム測定

●1日目のrTMS適用前と2日目のrTMS適用直後に立ち上がり、10m歩き、後ろを振り返り、できるだけ早く座るというSWS(Stand-Walk-Sit)テストを患者に行ってもらった。FOGを誘発するために、患者は制限された場所で停止した状態から、左回りに2回、右回りに2回、ランダムな順序でできるだけ速く360°回転させた。

●実験2日目の終了時に、rTMSの効果を評価するために、Patient Global ImpressionおよびClinical Global Impression評価尺度を適用した。SWSテスト、rapid-full-turnテスト、SWSテスト中の二重課題中の凍りつきエピソードを分析した。

 

 

 

Results

SWSテスト(p=0.097)とrapid-full-turnテスト(p=0.071)における凍りつきエピソードの相対的変化の傾向が見られた。SMA群ではMC群に比べて凍りつきエピソードが少なかった(Table 1)。二重課題では変化は見られなかった。

 

 

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Conclusions

今回の結果から、FOGを有するPD患者の治療において,SMAが脳刺激のより適切な標的であることを示唆するものである

本研究は、rTMSを用いてSMAを刺激することがFOGに有効であることを示しており、今後の治療法の開発に役立つ可能性がある。